たくさん並んでいます。
レアなボトルを見つけたりと、眺めているだけでも楽しいのですが、ではその中で一番人気の
あるボトルは何でしょう?
答えは「カンパリ」。
イタリアが世界に誇るリキュールで、その鮮やかな赤色と爽やかなほろ苦さが特徴です。
バールでの消費量は他のボトルを圧倒していて、バリスタとしては、在庫管理と発注において
まずチェックするボトルでもあります。
一番人気といっても、それは消費量の話。カンパリ単体で飲まれることは、ほとんどありません。
例えば「カンパリ」と注文すれば、「カンパリソーダ」のことだと理解されるでしょう。
1930年代に発売されたカンパリソーダの小瓶は、そのデザインも変わらず愛されています。
カンパリソーダには、お好みで氷やオレンジスライスを入れてもらいましょう。
これに少量のジンを加えるのもポピュラー。
ボトルのカンパリ・リキュールを注文する際は、「ビッテル・カンパリ」(Bitter Campari)と言って
みてください。
白ワインやスプマンテに少量のカンパリを注ぐ注文も非常に多く、アペリティーヴォ(食前酒)に
ふさわしい華やかさを演出してくれます。
こうしたカジュアルな飲み方の他、やはりカクテルの材料として有名ですね。
イタリアでは、「アメリカーノ」と「ネグローニ」が大人気!
近年流行している「アペロール・スプリッツ」も、アぺロールに代えてカンパリを使う注文が
増えています。
日本で人気の「カンパリオレンジ」は実はそれほど注文は多くなく、「スプモーニ」に至っては、
その存在すら知られていないのが不思議ですが…。
Campari Soda |
イタリアのバールはもとより、世界中で大人気のカンパリ。
その誕生はイタリア北部、ミラノ近郊の町・ノヴァーラでした。
この町でバールを経営していたガスパーレ・カンパリ氏(Gaspare Campari)が、「ローザ・カンパリ」
(Rosa Campari)と呼んだ新しいリキュールを開発します。
これが現在のカンパリで、レシピは当時とまったく変わっていません。
様々な野草、香草、果実を抽出したものですが、製法は秘伝として明かされていないため、
原材料は20種類と言う人もいれば、60種類と言う人もいるようです。
その新商品を売り出すべく、1860年、ガスパーレ氏はミラノ社交界の中心・ガッレリアに、
「カフェ・カンパリ」をオープンさせます。
カンパリはアペリティーヴォの主役として、瞬く間にミラノ市民に大評判になったといいます。
息子のダヴィデ・カンパリ氏(Davide Campari)が2代目を継ぎ、ビジネスに長けた彼の戦略のもと、
世界的な酒造メーカーとして大きな発展を遂げました。
カンパリは現在、世界190ヶ国以上で販売されていて、他の様々な銘柄もグループ傘下に
収めています。
チンザーノ(ヴェルモット)、チナール(アマーロ)、アペロール、フランジェリコ(ともにリキュール)、
SKYY(ウォッカ)、ワイルド・ターキー(バーボン・ウィスキー)などは、耳にしたこともあるのでは
ないでしょうか。
Bitter Campari |
ミラネーゼ(ミラノっ子)の誇りであるカンパリは、今では「イタリアの情熱の赤」に形容され、
世界中でその輝きを増しています。
"CAMPARI"の"R"を取れば…、"カンパイ(乾杯)"ですね!
そんなシャレでイタリア人に日本語を教えつつ、今日もカンパリのグラスには友人の笑顔が
映っています。
カンパリ社・公式サイト(イタリア語・英語・ドイツ語)
http://www.campari.com/
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