ローマ時代の遺跡が点在するこの小さな町は、実はそれ以前のエトルリア時代からの古い歴史を
誇り、その歴史的経緯から「フィレンツェ発祥の地」、「フィレンツェの母」などと謳われています。
フィレンツェからフィエーゾレへと上る坂道には、緑あふれる田園風景が広がり、大きなヴィッラが
並んでいます。いずれも世界の富豪たちの別荘。
超高級別荘地を優雅に抜ける、緩やかな山道からは、レンガ色に広がる美しいフィレンツェの
街並みを望むことができ、その中心にドゥオーモのクーポラがひときわ大きくそびえています。
その丘の中腹に、サン・ドメニコ地区(San Domenico)の町があります。
フィレンツェ・グルメ社交界の顔役、マッシミリアーノ・フェッリ氏が、ここにある一軒のリストランテを
紹介してくれました。
「ピアッティ・エ・ファゴッティ」(Piatti e Fagotti)
オーナーはトンマーゾ・サバティーニ氏。
空手師範であるフェッリ氏と、同じく空手家の同氏は、古いつきあいだといいます。
ランチのやや遅い時間に訪れた私たちでしたが、トンマーゾ氏は大いに歓迎してくれ、
2種類のラザーニャをごちそうしてくれました。
旬であるアーティチョークのラザーニャは、春らしい軽やかな逸品。
もうひとつ、伝統的なトマトベースのラザーニャは、挽き肉ではなく牛肉がそのまま入った
ミートソースが、旨味をさらに引き立てています。
フィレンツェに本店を構える、世界的名店「サバティーニ」(Sabatini)。
東京・銀座にも出店していて、30年以上に渡って日本に本格イタリアンを伝えた老舗として、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。
その創業者、ヴィンチェンツォ・サバティーニ氏は、トンマーゾ氏の祖父にあたる方です。
ヴィンチェンツォ氏の息子(トンマーゾ氏の父)が心理学者の道を進んだため、「サバティーニ」の
経営権は1980年に他者に引き継がれています。
そして、再び料理への回帰を志した孫のトンマーゾ氏がリストランテをオープンさせたのが、
ここフィエーゾレのサン・ドメニコ。
フィレンツェの母なるフィエーゾレで、伝統的なフィレンツェ料理を提供しています。
Gastronomia |
同店の特徴として、リストランテの入口に、惣菜カウンター・ガストロノミアを併設していることが
挙げられます。
ここでは様々な食材を購入できるほか、各種惣菜をテイクアウトすることもできます。
パニーノもぜひつくってもらいましょう!
ランプレドット(Lampredotto)はオススメ。
日本では「ギアラ」と呼ばれる牛の第4胃袋で、パニーノにはさんで食べるスタイルは、
フィレンツェでしか味わえない定番の伝統料理です。
牛の第2胃袋、いわゆる「ハチノス」の煮込み・トリッパ(Trippa)も用意しています。
パルマ、サン・ダニエーレといったイタリアを代表する生ハムはもちろん、ぜひ試したいのが、
シエナ産黒豚、チンタ・セネーゼの生ハム。
スライサーではなく、手で直接切り分けるので、繊細な風味を存分に味わうことができます。
チーズも、ピエンツァ産ペコリーノ(Pecorino di Pienza)をはじめ、各種揃えてあります。
ガストロノミアでテイクアウトして、オリーブ林の広がるフィエーゾレの田園で食べるのも、
とても気持ちの良いものでしょう。
眼下に広がる“花の都”フィレンツェの、ため息の出るような美しいパノラマが、忘れがたい味の
最後のスパイスです。
Gastronomia - Antico Ristoro "piattiefagotti"
Via delle Fontanelle 3/9/11 San Domenico, Fiesole
http://www.piattiefagotti.com(イタリア語)
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惣菜屋・ガストロノミア活用法
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