2011/02/16

イタリア・ダービー

一昨日、イタリア・ダービー(Derby d'Italia)がありました。
ダービーといっても競馬ではなく、サッカー・セリエAにおけるユヴェントスvsインテル戦のこと。

サッカーのダービーマッチは、通常は同じ町を本拠地とするチーム同士の対戦をいいます。
バールには同じ町の両サポーターが通うわけですから、日頃からコーヒーを飲みながら
激しい舌戦が繰り広げられ、ライバル関係を煽ります。
それがダービー直前ともなると熱気は一気にヒートアップ。
ピリピリしたムードまで漂い、息をのんでモニターに見入る試合開始前は、こちらまで手に
汗を握ってしまうほど!
そして勝ったチームのサポーターは以後バールで大きな顔でダービーの勝利を語り続け、
負けたチームのサポーターは毎日肩身の狭い思いをしつつ、苦々しくカフェを飲み、
次回のダービーでの雪辱を胸に誓うのです。

イタリア人のサッカーへの情熱と興奮が頂点に達するダービーは、バールで彼らとともに
体感するのが一番です!
持っているビールがこぼれそうなほど身振り手振りを交え、怒号が飛び交い、
通り抜けられないほど満員のバールは、熱気充分!
ゴールした瞬間の爆発的な喜びの一体感は、イタリアの情熱に触れた瞬間といえるでしょう!


今シーズンのセリエAで実現する同じ町のダービーは以下の3試合があります。

ミラノ・ダービー(Derby di Milano)、インテルvsACミラン
ローマ・ダービー(Derby di Roma)、ASローマvsラツィオ
ジェノヴァ・ダービー(Derby di Genova)、ジェノアvsサンプドリア

毎年セリエAは、下位チームとセリエB上位チームが入れ替わります。
ですので、歴史的に有名な以下の2試合も、いずれまた観ることができるでしょう。

トリノ・ダービー(Derby di Torino)、ユヴェントスvsトリノ
ヴェローナ・ダービー(Derby di Verona)、キエーヴォvsヴェローナ

また、都市国家が分立していた時代が長かったイタリアは、近隣都市同士の対抗意識が
とても強いのが特徴です。主に、同じ州の町同士のダービーとなることが多いです。

エミリア・ダービー(Derby d'Emilia)、パルマvsボローニャ
プーリャ・ダービー(Derby di Puglia)、レッチェvsバーリ
シチリア・ダービー(Derby di Sicilia)、パレルモvsカターニア


では、イタリア・ダービーはなぜユヴェントスとインテルの対戦なのでしょうか。
イタリアという枠なら、すべてのチームが該当することになるはずです。

実はイタリア・ダービーと呼ばれるようになったのは1967年のこと。
当時、優勝回数が最も多い上位2チームの対決に、ジャーナリストがそう名付けたそうです。
しかし、両チームのサポーター同士の特別な対抗意識もダービーの由来だといいます。
実際、その後ACミランがインテルを優勝回数で上回った時代もありましたが、
それでもイタリア・ダービーはユヴェントスとインテルの対戦に変わりありません。
(現在は再びインテルがACミランを優勝回数で上回っています)

また近年では、一度もセリエBに降格したことのない2チーム、という由来も語られますが、
正しくありません。1967年当時、ACミランとボローニャも降格未経験のチームでした。
それぞれ80年、82年に降格を経験し、2006年にはユヴェントスもついに降格しています。
インテルは、現在まで一度も降格せずにセリエAでプレーしている唯一のチームなのです。


一昨日のイタリア・ダービーは1-0でユヴェントスが接戦を制しました。
スタジアムでは発煙筒が焚かれ、爆音が轟き、異様な雰囲気に包まれました。
サポーターのみならず選手たちも特別な思いでダービーに臨みます。
想像を絶する緊張感と重圧のなかでいつものプレーができない選手もいますが、
ここで活躍すれば以後何年も語り継がれるヒーローになることができます。
後半途中出場した長友選手にとっても、ひとつ大きな経験になったはずです。

セリエAも今シーズン残り13試合となりましたが、まだまだダービーは続きます。
明日はジェノヴァ・ダービー。町のシンボルを冠して別名・灯台ダービー(Derby della Lanterna)。
最も古い歴史をもつダービーと言われ、毎回激しい試合展開をみせる注目のカードです!

3月13日にはローマ・ダービー、4月3日のミラノ・ダービーおよびシチリア・ダービー、
5月8日の再びジェノヴァ・ダービーおよびエミリア・ダービー、5月15日のプーリャ・ダービーが
残されています。

強烈な対抗意識と特別な緊張感、時には暴動にまで発展する熱戦をぜひお見逃しなく!

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