2012/03/27

お酒は16歳になってから

イタリアの法律では、飲酒は16歳からとなっています。

初めて知ったときは驚きましたが、日本の20歳というのも現実に即していないと感じます。
18歳で一人前の社会人として稼ぎながら、同僚とお酒を飲むこともできなかったり、
結婚は許されるのにお酒は法律違反というのも、なんだかおかしいですよね。

では、イタリアでは高校の授業が終わった後、みんなで一杯やりに行くのでしょうか…?

“16歳未満への酒類の販売はいたしません”

イタリアの家庭では、親が少しずつワインの味を子供に覚えさせることは珍しくありません。
ワインは料理と一緒に飲むものであって、イタリア料理はワインによっていっそう味が
引き立つ特性があります。ビールやカクテルなどと違って、酔っぱらうほど飲むものではなく、
あくまで料理の味を楽しむだけの適切な飲み方を心得る必要があるのです。

また、ワインの味や飲み方を知っているということは、高いレベルで食文化に精通していると
いうことで、社会的地位や教養の高さの象徴のようなもの。
ですから、子供にそうした「教育」を施すのは、むしろ親としての義務だと考える人が多いですね。

ですから、酒類全般を一様に規制するのではなく、16歳からはその状況に応じた個々の
判断にゆだねる、ということなのでしょう。



実際に、16歳の若者がバールにお酒を飲みに来るのは、とても珍しいことです。
社会通念としては、やはり一人でお酒を飲むには早過ぎるし、良い目では見られません。
地域コミュニティの場としてのバールでは、周りが諭す環境があり、これが法律よりも
抑制力のある大きな役割となっているのです。

そもそもイタリア社会では、人前で酔い過ぎることは、最低の行為のひとつとされています。
自身をコントロールできない人間だと見なされ、社会的信用を失うほどの醜態とされるのです。
お店の場では陽気になっても、外に出てまで騒ぐ人はまずいません。

路上で大騒ぎをする集団、一人では歩けないほど酔い潰れている人々、悪態や暴力行為…。
むしろ日本の繁華街のそうした光景は不快で、本来なら若者の暴走を止める側の大人も
一緒になってやるようでは、法律で歯止めをかけるのも仕方ないのかもしれません。

日本の20歳とイタリアの16歳という差は、個々の若者の判断力や、若者を守る社会の在り方が
そのまま表れているように思います。



ところで、そんなイタリアでも近年大きな社会問題となっているのが、若者の飲酒運転と
多発する交通事故死。
アルコール度数の高いカクテルの飲み方をまだ知らないための、飲み過ぎが大きな原因で、
それは主に、若者しか集まらないディスコやクラブで起こります。

そこでは、私たちバリスタによるコントロールがいっそう重要になります。
飲み方のアドバイスはもちろん、飲み過ぎている若者を注意したり、販売拒否もいとわず、
全員が楽しく飲む環境のためには、バリスタは断固とした強い姿勢で臨みます。
ここも日本の接客業とは違うところですね。
イタリアでは、お客様は神様ではなく、友人なのです。

実は私はイタリアで3回バイクにはねられましたが、いずれも飲酒運転が原因でした。
車道を歩いていた私も不用意でしたが…。
特に夜、イタリアの街を歩く際は、必ず歩道を歩くようにしてくださいね。
飲酒運転をする16歳の若者がいる、という事実は忘れずに!




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