リストをつくれば百科事典ほどの厚さになるくらい、膨大なメニューを誇るバール。
ですから、メニュー表をつくるのはほとんど不可能です。
外国人向けにシンプルなものを用意するバールはあっても、大多数のバールにはありません。
それでも、エスプレッソマシンやカウンターの機材、並べられたボトル、ショーケース、
冷蔵ラックなどを見れば、そのバールが扱っているメニューはおおよそ見当がつくものです。
しかしそれでも決して見ることができないのが、実はバリスタの足元、カウンター下の
冷蔵スペースなのです。
ここには様々なドリンクが冷やされています。
白ワイン、アペリティーヴォ(食前酒)用のリキュール類、カクテルにも使うフルーツジュース…。
カプチーノなどをつくるミルクには、豆乳といった特殊なものを置いてあるお店も!
スプレムータに使うオレンジや、その他のフルーツもここで冷やされています。
その中でも最も知られていないものが、スプーマ(Spuma)と呼ばれるノンアルコールの炭酸飲料。
小さな瓶を扱うバールもありますが、たいていは1.5リットルのペットボトルに入っていて、
バリスタが直接グラスで提供します。
スプーマには様々な種類があり、色もとてもカラフル!
比較的どのバールでも扱っているのは、以下の3種類です。
「チェドラータ」(Cedrata)
シトロンの風味が爽やかで、色は黄色。老舗メーカーの名前から「タッソーニ」(Tassoni)とも
呼ばれています。スプーマの定番中の定番!
「ジンジャー」(Ginger)
オレンジエキスが加わっているのが、英国のジンジャーエールとの違い。甘味の中にビターな
刺激があり、大人の味わい。鮮やかな赤色から「ロッサ」(Rossa)とも呼ばれています。
「ビオンダ」(Bionda)
その名の通りブロンド色で、味もジンジャーエールによく似ています。ジンジャーエールを扱う
バールは極めて少ないので、こちらを訊ねてみてください。
一般的にスプーマというと、炭酸オレンジジュースの「アランチャータ」(Aranciata)や、
「キノット」(Chinotto)と呼ばれるコーラに似た柑橘風味のドリンクも含まれます。
炭酸清涼飲料という広義の意味ではコーラやトニックウォーターなど外来銘柄の
すべてを指しますが、バールではこれらは缶やペットボトルで販売されているため、
実際スプーマといえばグラスで提供される上記3種類のことを指します。
こうした意味合いの違いも知っておくと、バリスタへの注文もスムーズにいくでしょう。
スプーマは、夏場に喉をうるおす清涼飲料として、またはパニーノ等で済ませる簡単な
ランチでよく飲まれます。
もうひとつ、アペリティーヴォ(食前酒)でのノンアルコールドリンクとしても最適で、
発泡性のカラフルな華やかさは、一見カクテルのようでもあります。
オススメしたいのは、その低価格!
グラスいっぱいに注いでくれ、値段は1ユーロ以下。エスプレッソとほぼ同じ料金設定で、
気軽にバールのひとときを楽しめるのです。
バリスタは様々なものを「隠して」います。
そこを探るのも、バールの楽しみ方のひとつ。
各地方独特のドリンクもあるので、どんどんバリスタに訊ねてみてください!
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