2012/03/25

宵のいざない・ヴェルモット

イタリアでは日常的な習慣となっているアペリティーヴォ(食前酒)。
ディナーをひかえた夕方に友人たちとバールのカウンターで一杯やる楽しさは、
イタリアならではの、とっておきの時間です。

しかし、スプマンテやビールといった炭酸系が苦手な方もいるでしょう。
値段の高いカクテルをいつも頼むのは気が引けることもありますし、いつものワインとは
少し雰囲気を変えたい時もあるのでは?
そこでオススメしたいのが、ヴェルモット(Vermouth)です!

ヴェルモットをリキュールの一種だと思われる方もいますが、実はフレーバード・ワイン。
主な産地がイタリアとフランスであるのも、ワイン大国という背景があるわけです。

イタリアでは特にピエモンテ州が原産地で、いずれも州都・トリノで創業したチンザーノ(Cinzano)
とマルティーニ(Martini)が代表銘柄。
イタリアではどのバールにもおいてあるので、おなじみのボトルを誰もが一度は目にした
ことがあるのではないでしょうか。

フレーバード・ワインというだけに、原材料のベースは白ワイン。名前の原義であるニガヨモギ
をはじめとする様々な薬草や果汁で風味づけされ、味の違いからドライ・ヴェルモットと
スイート・ヴェルモットの2つに大きく分けられます。
シュガーシロップで甘味をつけたスイート・ヴェルモットはさらに、ドライ同様に無色の
ビアンコ(Bianco)、カラメルでルビー色に着色されたロッソ(Rosso)、ロゼワインをベースにした
ロゼ(Rosé)の3種類があります。

アルコール度数は、ドライが18度、スイートが16度と、ワインより少し高い程度。
無理なく食前酒を楽しめる飲みやすさがあり、バリスタとしての経験上、特に大人の女性が
よく注文されるスマートなお酒という印象があります。

さて、飲み方ですが、そのままストレートでもいいですし、オンザロックも人気があります。
冷やして飲む方が美味しいので、冷蔵スペースにボトルをおいてあるバールも多く、
その場合ボトルラックで銘柄を確認できないので、直接バリスタに訊ねてみてください。
ロッソにはオレンジスライス、ビアンコにはレモンスライス、ドライにはレモンピールを
添えてもらうと、味がいっそう引き立ちますよ!

日本では特にカクテルの材料としてポピュラーだと思います。
ドライ・ヴェルモットをつかった「マティーニ」、ヴェルモット・ロッソをつかった「マンハッタン」が
代表格ですが、イタリアでは「アメリカーノ」と「ネグローニ」が断然人気!
どちらにしても、やはり食前酒向きのカクテルになりますね。

* * * * * * *

夜遅くまで陽の明るいイタリアの夏、バールのテラスに一人腰かけて、冷えたヴェルモットを
傾けながらくつろぎの時間を楽しむ方は、バリスタから見てもとてもかっこいい大人の過ごし方
に映ります。
もちろん仲間と一緒に飲んでも会話が弾む軽快さがヴェルモットにはありますよ!

かぐわしさの中に遊び心のあるイタリアの味と、あなただけの特別なひととき…。
ぜひバールでお待ちしています。


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