4年間在籍したCSKAモスクワの契約満了にともなう完全移籍です。
---セリエA 10人目の日本人選手
イタリアサッカーリーグ・セリエAへの日本人選手の移籍は、2010-11年シーズンから
チェゼーナに移籍した長友佑都選手以来、10人目になります。
その長友選手も、2011年1月の冬の移籍市場で名門インテルに電撃移籍しましたね!
ここで、セリエAでプレーした日本人選手を、もう一度振り返ってみましょう。
(出場試合数と得点は、昨シーズンまでのリーグ戦のみの通算成績)
FW 三浦知良: 21試合1得点 (1994-95 / Genoa)
MF 中田英寿: 182試合24得点 (1998-2005 / Perugia - Roma - Parma - Bologna - Fiorentina)
MF 名波浩: 24試合1得点 (1999-2000 / Venezia)
MF 中村俊輔: 81試合11得点 (2002-2005 / Reggina)
FW 柳沢敦: 44試合0得点 (2003-2006 / Sampdoria - Messina)
MF 小笠原満男: 6試合1得点 (2006-2007 / Messina)
FW 大黒将志: 10試合0得点 (2006-2008 / Torino)
FW 森本貴幸: 104試合19得点 (2006-2013 / Catania - Novara - Catania)
DF 長友佑都: 89試合4得点 (2010- / Cesena - Inter)
MF 本田圭佑: (2014- / AC Milan)
活躍した選手と、そうでない選手、結果はそれぞれですが、技術力は関係ありません。
イタリア語を覚え、チームメートと積極的にコミュニケーションをとった選手が成功しています。
本田選手も英語は堪能だと聞きますし、前所属CSKAモスクワではロシア語も覚えたとのこと。
イタリアでも必ずチームでリーダーシップを発揮してくれることでしょう。
---世界的名門クラブ
ACミランの創設は1899年。その歴史・実績ともに充分の、名門中の名門チームです。
セリエA優勝は、ユヴェントスに次ぐ18回で、インテルと並んで歴代2位。
欧州チャンピオンズリーグでも、レアル・マドリード(スペイン)に次ぐ歴代2位の優勝7回を誇り、
その輝かしい戦績はまさにサッカー界の歴史そのものです。
おのずとその人気も世界レベル。
チームカラーの赤と黒から「ロッソネーリ(Rossoneri)」との愛称で呼ばれ、
「ミラニスタ(Milanista)」と呼ばれるサポーターは地元ミラノにとどまらず、
イタリア全国、さらには世界中に多くのファンをもっています。
日本での人気は、1989年・1990年に、欧州王者としてトヨタカップを2連覇した時からでしょうか。
フリット、ファン・バステン、ライカールトのいわゆる「オランダトリオ」を擁する強力な攻撃陣と、
主将バレージ率いる堅固な守備陣が繰り広げる完璧なサッカーは、開催地・日本のサッカー
ファンを大いに魅了しました。
たとえミラニスタでなくとも、ACミランに所属した数多くのスター選手には、誰もが憧れを
抱いたのではないでしょうか。
ボバン(クロアチア)、レオナルド(ブラジル)、シェフチェンコ(ウクライナ)、ルイ・コスタ(ポルトガル)、カカ(ブラジル)、セードルフ(オランダ)といった外国人選手から、ドナドーニ、マルディーニ、コスタクルタ、ネスタ、ガットゥーゾ、ピルロ、インザーギといったイタリア人選手まで、彼らはACミランの象徴ともいうべき存在。
さらにここで一時期を過ごしたバッジォ(イタリア)、ロナウド、ロナウジーニョ(ブラジル)、
ベッカム(イングランド)ら、世界的スターの名前も挙げればきりがありません。
もちろん、世界中の監督にとっても、ACミランを指揮することはこれ以上ない栄誉。
1998-99年シーズンには、現日本代表のザッケローニ監督が率いてリーグ優勝。
これにより、同氏は名将としての地位を確立しています。
---背番号「10番」
こうしたスター集団の中で、今回本田選手がエースナンバー・背番号「10番」を継承することが、
最大のサプライズではないでしょうか。
イタリアでの本田選手の知名度は、欧州での活躍もあってもともと高いものでしたが、
移籍成立目前で破たんした1年前のラツィオ、半年前のACミランとの交渉過程は、
日々盛んに報道され、もはやカリスマ性をもって実力を高く評価されています。
日本人初のビッグクラブ加入となった長友選手のインテル移籍は、当時無名の存在だった
小柄な日本人に対して、懐疑的で冷ややかな反応でした。
しかし本田選手の状況はまったく違います。現在9位と低迷するチームの「救世主」として
獲得され、チームの上位浮上を劇的に牽引する活躍をすることは、「期待」という甘い言葉
ではなく、最低限の「責任」だとされているのが現地イタリアの受け止め方です。
フリット、サヴィチェヴィッチ、ボバン、ルイ・コスタ、セードルフ、ボアテングが継承してきた
伝統の背番号「10番」。
自らその番号を望んだ本田選手の強い覚悟は、熾烈なレギュラー争い以上に、
ACミランの象徴的存在となるべく、未知なる成長へと導いていくはずです。
---チームの現状
セリエA・第15節を終えた時点での、上位チームは以下の通り。(カッコ内は勝ち点)
ユヴェントス(40)、ローマ(37)、ナポリ(32)、インテル(28)、フィオレンティーナ(27)、ヴェローナ(25)
ACミランは財政難による主力選手の大量放出があり、今シーズンは現在勝ち点18の9位と
極度の不振に陥っています。
首位ユヴェントスとは勝ち点22の差があり、優勝は現実的ではありません。
来季のチャンピオンズリーグ出場圏内である3位を目指すことになりますが、現在3位の
ナポリとは勝ち点14差。本田選手はこの差を埋める活躍をしなければなりません。
「司令塔」として、イタリア代表のエース・バロテッリをはじめ、エル・シャーラウィ、ロビーニョ、
マトリ、パッツィーニらが揃う破壊力ある攻撃陣を生かす役割を担っています。
欧州チャンピオンズリーグには、イタリア勢で唯一16強に進出していますが、本田選手は
すでにCSKAモスクワの一員として出場したため、規定によりACミランではプレーすることが
できません。その分、リーグ戦での絶対的な活躍をみせる必要があります。
---長友選手、ミラノダービー
ACミランのホームスタジアムは、サン・シーロ。1990年のワールドカップ・イタリア大会の
開幕戦の舞台ともなった、イタリアサッカー界の聖地です。
同じくここを本拠地とするインテルとは、最大のライバル関係にあり、両チームが対戦する
ミラノ・ダービーの注目度と熱狂は、サッカーという枠を超えたイタリアの一大イベント。
来年5月4日のミラノダービーでは、インテル・長友選手との日本人対決に大注目です!
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私は20年来のインテリスタ(インテル・サポーター)なので、本田選手の移籍によって
ACミランを応援することはありませんが、彼の活躍には大いに期待しています。
サッカーと並んでF1やバイクなどのモーター・スポーツが国民的人気を誇るイタリアでは、
「HONDA」という名前は必ず親しんでもらえるはずで、愛される選手になってくれることでしょう。
サッカーの話題には事欠かないバールでも、日本人選手の活躍は、日本人バリスタへの
注目度を高めることにもなり、仕事がとてもやりやすくなることが個人的には一番嬉しいこと。
もちろん、バールでサッカー観戦するにも、またひとつ大きな楽しみが増えました!
イタリア人のザッケローニ監督による日本代表の急成長や、ビッグクラブ・インテルでの
長友選手の活躍などで、イタリアでも日本人選手の実力に注目が集まっています。
今後も多くの日本人選手がセリエAに移籍することを願うばかりです。
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