2011/03/21

春の初日

今日は3月21日。
イタリアでは「今日から春が始まりました」と大きく報道されます。
「冬が終わった!」とみんな喜び、春の訪れを互いに喜び合って、幸せを感じる一日でもあります。

ところが実際にはまだ肌寒いことに変わりなく、昨日までと同様とてもコートは手放せません。
「春だよ!」と急かされても、「まだ春じゃない」と思ってしまうのは私が日本人だからでしょうか。

日本では春一番が吹いたり、実際に暖かくなってから、春の訪れを語り合いませんか?
「今日から春」だとやたら断定的に言って譲らないイタリア人を相手に、
私は毎年大人げなく意固地に議論してしまい、ちょっぴり苦い春の初日を迎えるのです。

日本では3月21日は春分の日ですね。
通念上「昼夜の長さが同じになる日」だといい、これから日が長くなる楽しみがあります。

結局はほんのちょっとした考え方、言い方の違いで、春を喜ぶ気持ちに変わりはありません。
しかし、自然の中に季節の移ろいを感じ、毎年春の訪れの早さ遅さに気を揉む日本人としては、
常にカレンダーの同じ日に春を開始するイタリアの言い回しに、文化の違いを感じてしまいます。


桜前線の北上を予想する日本の天気予報を話すと、イタリアでは本当に驚かれます。
「満開の桜の下でお花見をする」というと、とても詩的な風景を思い描くようで感心され、
「春分の日は春の彼岸の中日で、お墓参りに行く」というと、興味深そうに尋ねてきます。

逆に、イタリアでの春の行事はパスクア。つまりイースター(復活祭)です。
パスクアの日は毎年違って、春分の日のあとの最初の満月の次の日曜日。翌月曜まで祝日です。
これは宗教行事ですが、長い冬が終わり春の訪れを感じさせてくれる風物詩でもあります。

今年のパスクアは4月24日。
パスクアのお菓子コロンバや、卵型のチョコレートなど、すでにスーパーに大量に並んでいて、
あとは春の暖かさを待つばかりといったところ。


「暑さ寒さも彼岸まで」というので、冬の寒さも一段落でしょうか。
イタリアでは短い春を経て、すぐに長い夏が到来します。
イタリアが最も美しく輝く季節まであと少し。そんな期待を抱かせる「春の初日」です。

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