2011/12/23

クリスマス菓子・パネットーネ

日本でも最近知られるようになってきた、ミラノの銘菓・パネットーネ(Panettone)。
「大きなパン」という意味通り、大きなドーム型の甘く柔らかいパンです。
レーズンなどのドライフルーツが入っているのが特徴。

パネットーネの誕生は、およそ500年前のルネッサンス期。
ルドヴィコ・スフォルツァ、通称イル・モーロ(Ludovico il Moro)統治下のミラノだったと、
いくつかの伝説が伝えています。

ひとつは、ミラノの鷹匠の若者が考案したという説。
彼は美しいパン屋の娘に恋し、そのパン屋に雇われるよう、また売上げを伸ばすよう、
ドライフルーツなどを使った新しいパン(パネットーネ)をつくり、それが評判を呼び、
その後2人は結婚して幸せに暮らした、というもの。

もうひとつは、ミラノ公イル・モーロのコックが、周辺国の貴族たちを招いた豪勢なクリスマス
昼食会を任されたときのこと。
準備したデザートをオーブンで焦がしてしまい、見習いのアントニオが試作していたパンケーキを
急遽出すことになり、それが意外にも大好評。
招待客に「パーネ・ディ・トーニ(Pane di Toni)」(アントニオの愛称・トーニのパン)と紹介し、
それが訛って「パネットーネ」になったというもの。



いずれにしても現在では、それがクリスマス用パンケーキとして全国的に有名です。
11月下旬から、スーパーや食料品店にはパネットーネが大量に並べられ、クリスマスまでに
親戚や友人、職場の同僚などに贈り合う習慣があります。
これがクリスマス当日ともなれば、もらったパネットーネを大量に抱えることに!
ですから、クリスマス休暇中(クリスマスから年越し、1月6日のエピファニアの祝日までの2週間)、
家でパネットーネを食べ続けることになるのです。

もうひとつ、似たようなクリスマス菓子に、ヴェローナ銘菓のパンドーロ(Pandoro)があります。
こちらはドライフルーツが入らず、雪のように白い粉砂糖を振りかけて食べます。

どちらも全国のスーパーなどで大量販売されますが、ほとんどは添加物など多く含んだ工業食品。
私のオススメは、菓子店・パスティッチェリーア(Pasticceria)が各店競って焼き上げる自家製です。
伝統製法の風味は格別で、友人に贈ってもとても喜ばれることでしょう!

ジェノヴァのパンドルチェ(Pandolce)など、各地方でしか食べられない同様のクリスマス菓子も
あります。やはり地元のパスティッチェリーアで見つけてみてくださいね!


パスティッチェリーアを併設しているバールでは、切り分けたパネットーネを食べることができます。
一番のオススメは、一杯の甘口スパークリングワインと合わせること。
パネットーネを引き立たせる、大人の食べ方です。

また、甘いものに目がない方は、ホットチョコレートをかけて食べるなんてどうでしょう?
あまりの幸せに思わずうっとりしてしまうご婦人方を、カウンターからたくさん見てきました!

他にも、あなただけの食べ方を、ぜひバリスタに相談してみてください。
とびきりの発見があるかもしれませんよ!

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