2014/04/20

食後の裏メニュー・カナリーノ

イタリアのバールのメニュー表はとてもシンプルですが、実際には発想豊かなドリンクの注文を無限の数ほど受けます。バールを利用する側も、迎えるバリスタ側も、バールの魅力はそこに尽きるのですが、こうしたいわゆる「裏メニュー」としての代表的なドリンクに、「カナリーノ」(Canarino)があります。

カナリーノとは、ティーカップにレモンの皮を入れ、お湯を注いだだけのシンプルなホットドリンク。
名前の意味は「カナリア色」。レモンの皮を煎じることで色づく、明るい黄色が由来です。
食後の消化を助ける飲み物として、イタリアの食卓には欠かせない存在です。

そもそもは、マンマ(お母さん)やノンナ(おばあちゃん)の知恵として代々受け継がれてきた、伝統的な家庭の飲み物。
各家庭で様々なレシピがあり、ローリエやサルヴィア(セージ)などのハーブを加える地域もあります。家庭では、ティーカップよりもグラスに注ぐ方が一般的かもしれませんね。

イタリア全土で飲まれるカナリーノの起源は定かではありませんが、数世紀以上も昔に生まれたといいます。自然に考えれば、レモンの栽培が盛んなイタリア南部が発祥かと推測することもできるでしょう。
例えばイタリア北部・ヴェネト州では、「リモナータ」と呼ぶこともあるようですが、通常リモナータといえばフレッシュレモンを使ったコールドドリンクのことを指しますし、ネーミングやレシピから発祥の歴史を遡ることは難しいといえます。


本来なら、わざわざバールに赴いてお金を払って頼むようなドリンクではないのですが、
注文する人が後を絶たないのは、その効能にあります。

消化不良や胃もたれ、さらには吐き気や頭痛をも改善する効果があり、外出先で体調が優れない方がバールに駆け込むわけです。
レモンとお湯さえあれば簡単に出来るので、どんなバールでも作ってもらうことができるのです。
二日酔いにも効くので、私自身もよく作っていますよ!

ぜひご家庭でもお試しください!
美味しく作るポイントは、ピーラーを使ってレモンの皮を薄く切ること。内側の白い部分は加熱すると不快な苦味が出るので、外側の黄色い部分だけを剥くことです。
熱湯を注いだら5分以上おいて、鮮やかなカナリア色を帯びてくれば完成です。
砂糖やハチミツを加えても美味しいですよ!

バールでは、コーヒーが苦手な方にもオススメ。
地中海の太陽を浴びたレモンのイメージは、イタリアの優しいマンマの温もりも伝わってくるようです…。


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